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退団のお知らせ・卒団メッセージ
2022-03-14
カテゴリ:お知らせ
2022年3月31日付けで下記の4名が退団いたします。今後の更なる活躍を祈念いたしております。

 2nd Violin 木越 直彦  Bassoon 海野 隆次  Trombone 松崎 泰賢  Trombone 矢崎 雅巳
2nd Violin 木越 直彦 卒団メッセージ
宮城フィルの「なんでも屋さん」からの出発。

 仙台フィルの演奏会に足を運んでいただいている皆様、いつもありがとうございます。私自身は、3月末日にて卒業しますが。これからも仙台フィルの応援を、どうぞよろしくお願い致します。
38年弱在団させていただきましたが、本当にいろいろなことがありました。
私が入団した時はまだ宮城フィルと言って人手も足りなく今のような制度も確立していない時代でした。
首席制度も何もなかった時代に第2ヴァイオリンのトップを務めさせていただきました。また、同時にオーケストラのインスペクター(以下インペク)を任されました。当時のインペクと言えばいわゆるオーケストラの「なんでも屋」。仕事の大半が音楽教室だった時代は早めに学校に入り、体育館内での演奏場所を決め、舞台設営をするなど大変忙しくしておりました。仕事が一息ついて支給のお弁当を食べようとしたら、インペクの分は残ってなかった、なんてこともありましたね。当時は2週間も仙台を離れ一日3回の学校公演もあったので、とても外でゆっくりご飯を食べる時間などありませんでした。食い物の恨みは忘れないものです(笑)。
また、当時は事務局から副指揮者オーディション等もインペクが全て執り行うようになっていて、私が事前に課題曲を決め、演奏しながらストップウォッチを片手に受験者の指揮棒がおりた瞬間から規定の時間で演奏をストップするというような業務を兼任しておりました。今では到底考えられないことですね。第2ヴァイオリンのトップも兼ねてたので今更ながらよくやったと思います(笑)
移動の時、貸切バス出発の際メンバーを確認するのもインペクの仕事。無事出発してホッとしたらメンバーを確認したけど指揮者を確認するのを忘れて焦った事があります。後からタクシーで追いついていただきました指揮者の○○さん。嫌な顔をせずに笑顔で次の仕事を振っていただきましてありがとうございます。あの時ほどバツの悪かった第2ヴァイオリンのトップはありません。なんせ、私の目の前が粗相をしてしまった指揮者ですから。(笑)
著名なゲストトップの方々から、演奏だけでなくいろいろお話させていただいたことは、少なからず自分自身の音楽観、視野を広めることに大きな影響となり私自身の大きな糧となりました。
音楽家として貴重な経験をしながら今日を迎えられたのも、オーケストラを支えてくださいました皆様、そして同僚の団員・事務局職員の皆様のおかげでを胸に秘め大きな感謝の念を抱きつつ卒業させていただきます。
重ねて、今まで応援してくださいましたすべての皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
木越直彦
Bassoon 海野 隆次 卒団メッセージ
顔に似合わず細やかな気遣いに感動

2022年3月をもちまして42年間在籍致しました、仙台フィルを退団するにあたり、指揮者とのエピソードを一つ紹介させて頂きます。
昔の指揮者というものはいろんな意味で個性的な方が多かったですが、中でも山本直純さんはその独特の風貌と指揮台の上で飛び跳ねるパフォーマンスで他を寄せ付けない存在感がありました。
話は変わりますが、宮フィル時代は事務所も手薄でしたので、数名の楽団員は事務所業務を兼務しながら演奏していました。(学校コンサートの営業・楽譜の手配等)
私は先輩で先に退団されたホルンの永沢さん、チェロの石井さんと共に楽器の調達・運搬の仕事を兼務していました。
そんな中、ある地方公演のため4トントラックで移動中でのこと、立ち寄ったパーキングでたまたま直純さんの乗った車と出くわし、気付いた直純さんが気さくに声を掛けて下さいました。「大変だな、ご苦労様。仕事が片付いたら俺のホテルに来い!」こんな風に指揮者に呼び出されたのは後にも先にもこれっきりでした。
ホールに楽器車を留置き、直純さんのホテルへ駆け付けると、翌日の公演主催者の方々とお食事(宴会)中、「お疲れ様、好きな物食べていけ!」と。労いのお言葉と共に3人でレストランの片隅で小さくなってご馳走を頂きました。
また、とあるコンサートでの出来事。(多分1990年7月気仙沼公演?)直純さん作曲の札幌オリンピック入場行進曲「白銀の栄光」がプログラムに入っている演奏会がありました。
その時コントラファゴットを担当していましたが、この曲の編成にはこの楽器は入っていなかたので、コントラファゴットの席でじっとリハーサルを聴いていました。すると直純さん、リハーサル終了後つかつかとその席までやって来られて一言「暇そうだな」とおしゃってきました。「楽譜が無いので」と答えると「明日まで待ってろ!」と言い残して去って行かれました。
翌朝ステージに行ってみると、譜面台には出来上がったばかりのコントラファゴット譜が置いてありました。きっと簡単で単純な楽譜だろうと思っていましたが、見ると16分音符が見事に連なり、とても低音楽器の楽譜とは思えない素敵な楽譜で、しかも五線紙に鉛筆で丁寧に手書きされておりました。一人で練習しているとニコニコしながらやってきて「それでいいだろ!」と。「ありがとうございます!!」と感謝の気持ちを伝えました。
言うまでもなく本番は気合が入りましたね。忘れられないいい思い出になりました。
ところであの直純さん直筆のコントラファゴット譜はどうなったのでしょうね。もし残っていたら【宮城フィルハーモニー管弦楽団ファゴット奏者 海野隆次氏に捧げた楽譜】と書き加えて貰えると嬉しいですね。(これは冗談です。)
海野 隆次
Trombone 松崎 泰賢 卒団メッセージ
感謝を込めてありがとう!

トロンボーン奏者の松崎と申します。2022年3月の定期演奏会をもちまして卒団致します。
「思えば遠くに来たもんだ!」的な感覚です。思えば、ずいぶん長い年月、仙台フィルハーモニー管弦楽団にお世話になりました。入団当初は、この年齢になるまでトロンボーンを吹ける、演奏出来るなんてまったく思っておりませんでした。
一人のトロンボーン奏者として、音楽家として素晴らしい経験をさせて頂きました!感謝、感謝です。
ヨーロッパ公演…震災…様々な思い出が有りますが、今となっては全てが貴重な思い出として残っております。
今後は、細々と?演奏活動、音楽活動を続けていきたいと思っております。もちろん仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏会には勉強の為にも聴衆の一人として顔を出したいと思っております。
お客様におかれましては、非常に多くの激励、応援を個人的にも頂き深く感謝致します!今後とも仙台フィルハーモニー管弦楽団を応援して頂き、私もその仲間に入れて頂ければと思います。
最後になりましたが、長い間本当にありがとうございました。
松崎 泰賢
Trombone 矢崎 雅巳 卒団メッセージ
オーケストラプレイヤーとして42年

私が仙台フィルハーモニー管弦楽団のトロンボーン奏者として入団したのは、今から42年前の事です。宮城フィルの社団法人化から2年目の時、楽団員も事務職員も皆、一丸となってより良いオーケストラを目指していました。
当時、技術的・音楽的にも難しいオーケストラ作品は、回を重ねればいつか楽になるかと思っていましたが、難しい曲は今になっても難しいまま変わりありません。ただ、その難しさに向かい合いそれを乗り切る術は、少しは身についたのだと思います。先日ブラームスのシンフォニー第1番を演奏した時に改めてその響きの重厚さや美しさと共に、難しさと音楽の深さを感じました。
これまで国内はもとより海外まで、様々な場所で演奏をさせていただきましたが、特に印象に残っているのは2000年のヨーロッパ公演です。ドイツ、オーストリア、イタリアと回り、昔から憧れていたウィーンのコンチェルトハウスとムジークフェラインでの体験は格別でした。歴史ある建物、その内部の椅子や床にいたる隅々まで施された美しい彫刻は、素晴らし音響と共に一生忘れないでしょう。
思い入れがある曲は、やはりラヴェルのボレロかもしれません。初めての自分が演奏することになった時の6か月間は、できる限りの練習を重ねた事で、本番ではすっかり(ある意味)あきらめもついて、演奏会に臨めた経験は今でも蘇ります。
職業としてのオーケストラプレイヤーを振り返ってみると、お客様に良い演奏をお届けするために自分自身が良い音楽を肌で感じとる経験する事が大切だと思いました。
体力的な事や技術的な苦労はありますが、美しい響きの中に身を置いて、楽団員全員で仙台フィルの音楽を創り上げていくことに喜びは、本当に幸せなことだったと実感させてくれました。私が座っているこの席が私自身を成長させてくれた事に心から感謝しています。
仙台フィル立ち上げの頃の気運はしっかり今も受け継がれており、何も変わりません。
今後の仙台フィルの発展を祈っています。
矢崎雅已
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