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2020/04/24

仙台フィル常任指揮者 飯守泰次郎よりメッセージ MESSAGE

仙台フィルの活動を理解し、愛情を注いで下さる聴衆の皆様、仙台フィルを支えて下さるすべての皆様、この度5月15日、16日に予定されておりました第336回定期演奏会は、やむなく中止にいたりました。仙台フィルと私は2018年から、ベートーヴェンに継続して取り組み、今回は交響曲第7番を演奏する予定でした。

交響曲第7番は、イ長調という輝かしい光と喜びに満ちた調性で、躍動的な付点のリズムで祭典的な熱狂に至る、特別な魅力に溢れた交響曲です。
ベートーヴェンがこの作品を作曲した1811年頃は、フランス革命に続く時代の大転換期でした。当時のベートーヴェンの実生活は、この音楽から想像もできないほどの苦境にありました。そもそも彼は、驚くべき音楽的才能に恵まれていながら、音楽以外の面では逆境の連続でした。病魔、特に作曲家でありながら聴覚を失ったことはよく知られていますが、家族の問題、恋愛関係の挫折、経済的な困窮…天賦の才能と同時に「神から逆境を与えられていた」とさえ思えるほどです。しかし彼は、不屈の精神の力をふり絞って人生を闘い抜き、私たちに偉大な名曲の数々を遺したのです。

ベートーヴェンは、音楽を通じてより崇高な世界を追求し、人々を高みに導きたいという熱狂的な欲求を持ち続けた作曲家です。彼は、内心の激しい葛藤、精神の揺れを創造へと昇華し、その音楽は圧倒的な歓喜や力強さ、そればかりでなく驚くほどの至福や静けさの表現にも到達しています。ベートーヴェンの音楽以上に、苦境にある人間を慰める音楽はない、と言われるほど、その内容は深く豊かなのです。

私たち人類は、ほんの数カ月前には想像もしなかった危機に直面しています。
しかし同じように激動の時代に生きたベートーヴェンの偉大な意思力は、今まで以上の切実さをもって私たちに迫り、新たな勇気を与えてくれるのです。
仙台フィルと仙台フィルを愛する皆様と共に、偉大なベートーヴェンの音楽を再びコンサート会場で分かち合う日を、待ち望んでおります。

仙台フィルハーモニー管弦楽団
常任指揮者
飯守泰次郎

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