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2018/02/14

パスカル・ヴェロ 特別インタビュー
第4回 旅の仲間たち ~オーケストラとは~

 いよいよ3月には常任指揮者として最後の公演を迎えるパスカル・ヴェロさん。インタビュー最終回では、ポスト就任からおよそ12年にわたるオーケストラとのリレーションシップ、そしてともに挑んだチャレンジの数々について、お話を伺いました。

 

―指揮者とオーケストラの関係について、ヴェロさんはどのように考えておいでですか?

 トスカニーニは楽員を怒鳴っていたなんて話もありますが、そういうことには興味がありませんし、自分は常にフラットですね。私は特別な仕事をしようとする“かわいそうな”音楽家のひとりです(笑)。なぜなら、他の音楽家が自分のパートを演奏するのとは異なり、指揮者はオーケストラをひとつにまとめなければならないからです。指揮者とオーケストラの関係は、本来は音楽によって評価される、見られるべきであって、それ以外の要素は必要ないと思っています。軍隊では、たとえ作戦が間違っていたとしても、キャプテンの言うことは絶対ですよね。音楽を作る上では、たとえ指揮者の指示が間違えていたとしても、オーケストラにとってそれが正しいということも起こり得る(笑)。 完璧な人間なんていませんから、そういうこともあるかもしれません。


 

   楽員と一緒にフットサルに参加

―フットサルを楽員の皆さんとされていたりもするそうですね。

 この2,3年、するようになりました。客演ではなく常任指揮者として定期的な機会があったからこそ、そういう関係が築けたのかもしれません。

 

―皆さんと築いた関係は、音楽における挑戦的な取り組みにも表れていますね。思い出深い公演を挙げるならば?

 定期公演ではありませんが、オーケストラのメンバーから頼まれて、パトナホールの室内シリーズでストラヴィンスキーの「兵士の物語」を演奏したことがあります。最初、指揮をしてくれないか、と頼まれたのですが、「もっとできるよ。語りもできるし、アコーディオンも弾ける」と。それで、フランス語の語りもみずから買って出たのです。下手したらリスクも伴うわけですが、あれはメンバーとの信頼関係があったからこそ、できたことです。長年一緒に演奏してきて、どういう風にすれば良いか、というのがお互いにわかっていましたからね。

 

   2014年3月 第281回定期演奏会
「ロコマドゥールの黒衣の聖母へのリタニア」
        演奏風景

 仙台フィルはスタッフも含めてこうしたことが柔軟にできるオーケストラでした。例えば第300回定期でベルリオーズの「レリオ」と「幻想交響曲」に取り組んだのもそうです。演出もあれば、合唱もある。色々要求することも出てきますから、場合によっては難しいチャレンジでした。これができたのはそれまでの信頼関係があったからこそです。
 チャレンジと言えば、プーランクのオルガンと女声合唱のための作品、「ロコマドゥールの黒衣の聖母へのリタニア」のオルガンパートを管楽オーケストラに編曲し、演奏したこともありました。女声合唱が私の後ろ、客席とオーケストラの間に立って歌ったのですが、この創造的な取り組みは素晴らしかった。どれが一番、というのはなかなか難しいですが、どのチャレンジも、仙台だからこそできたのだと思います。

 

(取材・構成:正木 裕美)

 

パスカル・ヴェロ 出演公演
第317回定期演奏会
 2018年3月16日(金)午後7時開演・17日(土)午後3時開演(17日は売り切れました)
 会場:日立システムズホール仙台・コンサートホール
 指揮:パスカル・ヴェロ  ピアノ:横山 幸雄*
  サティ:グノシエンヌ第1番*、第3番、第2番*・ジムノペディ第3番、第2番*、第1番
  ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲 作品25*
  ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
  ラヴェル:ラ・ヴァルス
  ラヴェル:ボレロ

公演情報詳細はこちら→

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