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2017/11/2

パスカル・ヴェロ 特別インタビュー
第2回 パスカル・ヴェロと仙台フィルの挑戦

 第1回インタビューでお届けしたように、ヴェロさんの常任指揮者就任は仙台フィルにフランスからの新たな風をもたらしました。フランス音楽を柱の一つに深化を続けたこの11年間、創立40周年で挑んだロシア公演、演出も話題となった300回定期演奏会など、そこにはさまざまな節目と挑戦がありました。

 

 

ベルリオーズから譜面を受け取るシーン

――昨年4月の300回定期演奏会では、ベルリオーズの「幻想交響曲」と「レリオ、または生への回帰」を演奏されました。作曲家の意図を汲み2曲を続けた事でも話題を呼びましたが、ヴェロさんは下手から登場すると、渡部ギュウさん扮するベルリオーズから譜面を受け取り、演奏を始めます。ここまで本格的ではないにせよ、小道具を用いたり、演出を効かせる公演がこれまでもたびたびありましたね。

 あれはベルリオーズその人の物語を伝えたかったため、演奏だけでなく演出もみずから行いました。「幻想交響曲」の弦の始まりはベルリオーズの世界の始まりでもあります。煙草をふかしながら書いては考え書いては考え逡巡するさまが、まさにそれを表しているようでしょう? 人によっては演出は必要ないと言うかもしれません。でも心を開いてみれば、ベルリオーズの人そのもの、または作曲家という職業が、演出によって見えてくることもあるのですから。

 

――時は前後しますが、13年振りの海外公演となったロシア公演(2013年)も、オーケストラにとって大きな節目になりましたね。サンクトペテルブルク・フィルハーモニーとモスクワ音楽院で合わせて3公演を行いましたが、ご自身やオーケストラにとって、どのような経験になりましたか?

ロシア サンクトぺテルブルクでの公演

 ロシア公演では、ロシアの音楽家との歴史的な繋がりを強く感じました。なにしろサンクトペテルブルク・ハーモニーではムラヴィンスキーがリハーサルや演奏を行った舞台に立ち、使用した楽屋で彼が座ったアームチェアに腰を下ろしたのですから。今でさえ、昔のムラヴィンスキーのインタビュー映像を見ると、その部屋の同じアームチェアに座っている姿を見ることができるのですよ! そんなホールで演奏するのですから、ドビュッシーは本当に素晴らしかった。ホールが作り出す特有の振動がオーケストラの美しい響きを生み出してくれ、これは本当に得がたい貴重な体験をしました。ホールはとても神聖な場所、言ってみれば聖地のようでした。もちろん私たちの本拠地である日立システムズホール仙台コンサートホールも、とても特別な場所です。ステージとは何か特別な場所なのです。ですがこのサンクトペテルブルクのホールはより神聖で、多くの音楽家たちのポートレートが飾られていて、何か歴史的なものに触れ、感じることのできる公演でした。モスクワ音楽院のチャイコフスキー・ホールでもそれは同様でしたね。このように違う環境での演奏は、ホテルでの生活やリード楽器に影響を与える湿気や乾燥の問題など、演奏家や楽器にとって必ずしも良い点ばかりではなかったはずです。しかし、そこも含め、ロシアでのツアーはオーケストラにとって、大きな挑戦になったのではないかと思います。

(取材・構成:正木 裕美)

 

 

パスカル・ヴェロ 出演公演
第317回定期演奏会
 2018年3月16日(金)午後7時開演・17日(土)午後3時開演
 会場:日立システムズホール仙台・コンサートホール
 指揮:パスカル・ヴェロ  ピアノ:横山 幸雄*
  サティ:グノシエンヌ第1番、第3番・ジムノペディ第1番、第2番*
  ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲 作品25*
  ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
  ラヴェル:ラ・ヴァルス
  ラヴェル:ボレロ

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