『楽団員が見る風景』第21回
~浦田誠真に聞く第393回定期演奏会~
次回の定期演奏会は、チャイコフスキー「イタリア奇想曲」と、今年没後90年を迎えるレスピーギの交響詩「ローマの噴水」「ローマの祭り」「ローマの松」!今回は、仙台フィル副指揮者の東尾多聞とトランペット首席奏者の浦田誠真が、『ローマ三部作』と呼ばれるレスピーギの3作の魅力についてトークを繰り広げます。
※第392回定期演奏会のプログラム冊子に掲載している『楽団員が見る風景』と同じ内容です。
東尾 今回はレスピーギの『ローマ三部作』が大きな聴きどころですね。誠真さんはこれまでに「祭り」と「松」は演奏経験があるそうですが、改めてレスピーギという作曲家にはどんな印象を持っていますか?
浦田 色使いが多い作曲家だなって思いますね。しかも、絵の具だけじゃなくてクレヨンを使ってみたり、筆もいろんな筆を使ってみたりと、描き方もいろいろな感じがするな。
東尾 僕もレスピーギはすごく絵画的で、その中でも「噴水」は美しい風景画に近い感じですし、「祭り」はぎゅっと実が詰まった作品という印象があります。「松」はまるで大きな建造物みたいなスケール感がありますよね。
浦田 そうそう、音楽から風景が見えてきますよね。「松」の冒頭なんかも、始まった瞬間に光が目に見えるくらい立体的な色彩や質感があって。もしかしたら、松そのものというより、松から見た景色や歴史を描いているのかもしれないね。
東尾 たしかに、レスピーギの作品からはイタリアの伝統や風土への愛着みたいなものも感じます。
『ローマ三部作』の魅力は、こうした絵画的なところだけじゃなくて、大編成ならではの音響にもありますよね。
『ローマ三部作』の魅力は、こうした絵画的なところだけじゃなくて、大編成ならではの音響にもありますよね。
浦田 特にバンダ(オーケストラ本隊とは離れたところで演奏する別動隊)ですね。トランペットで言えば、「祭り」は3人、「松」は4人のバンダが必要で、どちらもオーケストラ本隊と合わせて計7人にもなります。「松」のバンダにはトロンボーン2人も加わって、すごい迫力ですよ!それから「松」第2曲には舞台裏のトランペットソロがあって、今年6月に入団した関根美羽さんが担当します。このソロはオーケストラのオーディション課題として取り上げられることも多いんですけど、関根さんがオーディションで吹いてくれた演奏が本当に素晴らしくて。音もきれいで、歌い回しもすごくセンスがあるので、今回とても楽しみなんです。
東尾 他にも「噴水」ではハープ2台、「祭り」と「松」ではオルガン、「祭り」ではマンドリンまで登場します。「松」では「ナイチンゲール(鳥)のさえずり」も聞こえてきますね。
浦田 ナイチンゲールは捕まえてくるのかな。(笑)
東尾 だとしたら楽屋が大変なことに(笑)。楽譜上ではレコードで鳥の声を再生する指示なんですね。
浦田 鳥の声を流すっていう発想がすごいよね。前にやった時は水笛を使って表現したんだけど、みんなで鳴らしたら「鳥が多すぎる」って言われた(笑)。今回はどんな方法になるのか楽しみだなぁ。
東尾 イタリアには根強いオペラの文化があるし、レスピーギの音楽にも舞台芸術的な感覚がありますよね。それぞれの楽器にスポットが当たるところもオペラ的に感じますし。
浦田 あー、オペラっぽさね! たしかに。遠くから音が近づいてきたり、逆に遠ざかっていったりっていう情景描写もそう。特に「松」は、バンダのトランペットやクラリネット、コールアングレが次々に語り手みたいに出てくる。もしオペラだったら、最後は後ろから合唱隊がワーッと出てきちゃいそう!
東尾 ここまで自然に情景が浮かんでくる作曲家って、なかなかいないですよね。
実は仙台フィルでは、1994年の第100回定期演奏会でも『ローマ三部作』を取り上げているんですよね。
実は仙台フィルでは、1994年の第100回定期演奏会でも『ローマ三部作』を取り上げているんですよね。
浦田 そうそう。当時音楽監督だった故・外山雄三さんが「祭り」、常任指揮者だった円光寺雅彦さんが「松」、指揮者だった梅田俊明さんが「噴水」を振ったんだよね。同じ演奏会で指揮者が3人いるって面白いよね。あれから32年経って、再び定期演奏会で『ローマ三部作』を披露するわけですね。会場の皆さんには、今の仙台フィルの演奏でレスピーギの世界をぜひたっぷりとお楽しみいただきたいと思います。
取材:仙台フィル副指揮者 東尾 多聞
編集・構成 仙台フィル事務局 鈴木 拓海(広報)

