『楽団員が見る風景』第20回 ~三宅進に聞く第392回定期演奏会~

『楽団員が見る風景』第20回
~三宅進に聞く第392回定期演奏会~

 次回定期演奏会の魅力に迫る本シリーズは記念すべき第20回!今回から、4月に仙台フィル副指揮者に就任した東尾多聞が楽団員に定期演奏会の魅力を伺います。その初回となる第392回定期演奏会の指揮者は、なんと東尾の大学時代の先生である下野竜也!曲は、ベートーヴェン「エグモント序曲」、武満徹「オリオンとプレアデス」、再びベートーヴェン「コリオラン序曲」、そしてヒンデミット「画家マティス」。今回は、入団14年目となるチェロソロ首席奏者の三宅進に、魅力を語っていただきます。
※第391回定期演奏会のプログラム冊子に掲載している『楽団員が見る風景』と同じ内容です。

三宅 今回の指揮者・下野竜也さんは、多聞くんの師匠なんだよね。
 
東尾 そうなんです。京都市立芸術大学時代からご指導いただいていて、卒業した今でもずっと気にかけてくださっています。本当に厳しい先生なんですけど、その厳しさの根底に愛情があるんです。仙台フィルの副指揮者を受ける時にもご相談したんですが、オーディションが終わってすぐ電話したら、本当に喜んでくださって。「こういう機会はなかなかないから、コツコツ頑張りなさい」と言ってくださいました。
 今回のプログラムもすごく興味深いですよね。時代も作風も違う作品が並んでいるんですが、“何かからインスピレーションを受けて生まれた作品”という共通点がある気がしていて。ベートーヴェンは戯曲から、武満さんは自然や宇宙みたいなものから。ヒンデミットは絵画の世界から刺激を受けていますね。

三宅 ヒンデミットって構築的で難しいイメージを持たれがちだけど、「画家マティス」はすごく抒情的なんです。しかも、作品の背景には政治的な時代性もある。下野さんって、そういう社会性を持った作品を自然に取り上げるんですよね。以前、仙台フィルで「プラハ1968のための音楽」を振った時もそうでした。

東尾 僕もヒンデミットには“難解”なイメージを持っていたんですが、「画家マティス」は歌心があって、すごく魅力的だと感じています。ヒンデミットらしい構築感はもちろんあるんですけど、すごく色彩感があるというか。オペラをもとにしているからこそのドラマ性も感じます。
 
三宅 演奏機会は少ないけど、本当に良い曲だよね。実は「画家マティス」と「オリオンとプレアデス」は、僕自身ずっとやりたかった作品なんです。だから今回プログラムに入って、本当に嬉しくて。「オリオンとプレアデス」でソロを務める山崎伸子さんも素晴らしいですよ。デビュー50周年を迎えた今もなお、本当にエネルギッシュで。武満作品ならではの独特な音世界がどう響くのか、すごく楽しみです。チェロが前に立って引っ張るというより、オーケストラの中に溶け込みながら響いていく作品なので、その世界観をどう作られるのか期待しています。

東尾 あと、ベートーヴェンの「コリオラン」と「エグモント」は、指揮を学ぶ学生なら誰もが通る作品なんです。僕も大学時代かなり苦労しました。でも多分、先生自身もすごい思い入れの強い楽曲なんだと思います。

三宅 自分にとっても大事な曲、だからこそ授業でも取り上げるんだろうね。先生って、そういうところがあるから。でも、ベートーヴェンに対しては下野さん、すごいよね。以前他のオケでご一緒した時、体育館での小学生向け公演でいきなり「運命」を全楽章振ったんですよ。すごくない?びっくりしちゃって。

東尾 下野先生って、「第九を振りたくて指揮者になった」とよくおっしゃっていて、やっぱりベートーヴェンへの思いは特別なんだと感じます。あと下野先生は、比較的マイナーな作品とか、あまり普段演奏されないものを取り上げている印象があります。
 
三宅 “まだあまり知られていないけど本当に素晴らしい作品”にも光を当ててくれるよね。それも特に曲や趣旨を大きく説明するわけでもなく、さらっと。
 
東尾 今回のプログラムも、有名曲だけでなく、普段なかなか演奏機会の少ない作品が並んでいますよね。だからこそ新しい発見のある演奏会になりそうです。
 
三宅 そうなんです。でも、どの作品も実はすごく魅力的で。下野さんだからこそ生まれるプログラムだと思うし、それぞれの作品がどう響くのか、本当に楽しみですね。
                                              
                                                 取材:仙台フィル副指揮者 東尾 多聞 
                                            編集・構成 仙台フィル事務局  鈴木 拓海(広報)
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