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楽団員リレーコラム

リレーコラム<第14回>

無題:ホルン 須田一之さん

四季のある暮らしはとてもすばらしいとは思うが、最近はその移り変わりをとても早く感じるようになっている。小春日和の今日この頃ではあるが、少しずつ寒くなり、子供達にはうれしいクリスマスの季節がやってきた。先日早くもクリスマス・ツリーの飾り付けを終えた。

この夏は長い間忘れていたことをたくさん思い出すくらいの貴重な体験をすることができた。中学時代から人様の前で演奏するという誇りある今の職業に就くまで、何と言ってもホルンという楽器が第一番であった。親になり、我が子とぶらりと外に出かける機会が増えた。昔はごく普通にしていた“生き物”を探しに、本当に良くあちこちに行きまくった。ある新緑の美しい時に仙台市北部の田んぼに行き、脇の用水路に網をいれてみた。びっくりした、というよりものすごく感動した。たくさんの水辺の生き物が次々と採れた。まず簡単に小さな海老がいた。“藻海老”という。これがまたいくらでも網に引っ掛かるのである。とても懐かしく思ったし、一緒にいた3つになる我が子は初めて見る生き物に大いに喜んでいた。網をさらに深く入れてみると今度は“ドジョウ”がいた。なかなか太く立派なものである。“タニシ”や“おたまじゃくし”もいた。このくらいの生き物がいるのはまあ田んぼであるから当たり前か、と思っていたら、“タモロコ”という小魚や“イモリ”まで採れた。二人で思わず吠えた。しまいには“タガメ”や“タイコウチ”、“ゲンゴロウ”など水中生物の人気者が次々と姿を現す。もうこうなったら我が子のことなどすっかり忘れてしまい、自分の世界である。

ごくごく普通のどこにでもある田んぼであるのに、生き物の宝庫であった。適当にきり上げ帰路に着く。家に戻り早速今日採集した生き物たちを飼育するための準備を始める。その時のきらきら輝く我が子のまなざしがとても印象的であった。これらの生き物はほとんどが長生きできないので、機会あるごとに逃がしに出かけては再び新しい生き物を探していた。水槽の中はいつもにぎやかであった。いろいろな公園にも行き、“ザリガニ”もたくさん採った。最近はどこに行っても“アメリカザリガニ”がいると言われているが、いやいやいるところには“日本のザリガニ”もいた。この“ザリガニ”、やはり生命力が強いせいか非常に気性が荒い。すぐお互いにちょっかいを出す。直接手に取った我が子がハサミに見事に挟まれ大泣きしていた。

山の中にも入り、昆虫採集もした。最近はホームセンター等で買うということが普通になってきているが、団内で詳しい人に指導を受けながらまめに山に通った
さすがに水中生物のようにはいかない。範囲が広くなかなか”虫”にはお目にかかることができなかった。難しいとは思っていたがここまでとは…。「この次は絶対見つけような!」我が子とお互いを励まし合っては暇があれば山に向かった。自分も参加しているホルンアンサンブルのサマーキャンプの為四国の愛媛に行った時も、空き時間の時は林の中を歩いていた。

頑張った甲斐もあり、この夏は“カブトムシ”には会えなかったが、“クワガタ”には会えた。

“クワガタ”のメスは仙台で見つけることが出来た。東北とは違い、うだる様な愛媛の熱帯夜の山中で“クワガタ”のオスを捕まえたときは、とてもうれしかった。おもちゃ屋さんの売り場ではこの“ムシ”たちを題材にしたものが多数売られていて、また爆発的に大人気である。我が家もこれらのおもちゃがたくさんいる。オスとメスだと本物でもおもちゃでも圧倒的にオスが喜ばれる。来年はさらにたくさんの本物を見せてあげようと思った。もちろん自然の中で見つけたものを。

仙台というところは適度に都会で、適度に豊かな自然があることは以前から知っていたが、改めて再認識することができた。こんな素敵な街で居を構え、音楽と共に暮らせることをとてもありがたく思っている。ドイツに留学している時に、いろいろな演奏家達が話していたが、音楽と自然はとても深く結ばれていると。それを今は強く感じることができる。

間もなく本格的に冬になる。野山の生き物たちはなりを潜めている。新しい年が来てまた暖かくなったら、少し成長しているであろう息子とぶらり出かけてみよう。

今も家には“虫”や“水辺の生き物”がたくさん飼われている。いつも子供は大はしゃぎ。そしていつもその横で渋い顔をして生き物たちを見ている我が妻がいる。(笑)

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