TOP> 楽団員インタビュー> 楽団プロフィール> 仙台フィルについて> 楽器談義

楽器談義

構成 / 西大立目 祥子

Vol.13 パーカッショニストが語るパーカッションInterview

竹内将也,佐々木祥

竹内将也   佐々木祥

自分の身体と感覚で、イメージどおりの一音を探し求める

叩けば音の出るものすべてが打楽器

─学生時代は、どんな打楽器を勉強したんですか?
竹内/何でもやりましたね。僕の場合は、はじめからオーケストラのティンパニをやりたいという思いが強かったけれど。
佐々木/打楽器って間口が広いんです。民俗楽器やラテン楽器をやる先輩や後輩もいたし、ドラマーになった同級生もいます。
竹内/いろいろ学んだけど、僕は大きな打楽器に惹かれるんですね。深い響きの。ティンパニとか大太鼓とか。
佐々木/その点、僕は博愛主義(笑)。叩いて音の出るものなら何でも好きです。
竹内/考えてみると、僕の家にあるのって大きな楽器ばっかり。キャスター付きの(笑)。
佐々木/僕は水道管まで含めて、細々したもの。仏壇に置く鐘は9つ持ってる(笑)。9月のオペラ協会の「修道女アンジェリカ」上演のときは、手元にあった水道管が役に立ったんですよ。呼び鈴に使えるドの音を探していて、試しに家にあった水道管を叩いてみたらピッタリ。本番で使いました(笑)。
竹内/小次郎さん(佐々木さんのニックネーム)は周波数高めを、僕は低めを担当してますね。
佐々木/太鼓も笛も、打楽器奏者が担当なんですよね。汽車の汽笛からカッコウ笛、水笛まで。そもそもどうして笛まで吹いてるんだろう?!(笑)

自分の体とセンスで音を探し出す

─トライアングルやシンバルを極めることの難しさとは?
竹内/簡単に音が出るから、磨きがいがあるんですよ。
佐々木/シンバルは名人がいましたね。バーンと鳴らした後、クレッシェンドできるっていう奏者が(笑)。
竹内/例えばオーボエは音を出せるようになるまでが大変でしょう?アプローチが逆なんです。その点、打楽器は敷居が低いのが良いところ。
佐々木/シンバルもトライアングルも、奏者がいまも勉強を続けて新しい奏法を開発しようとしているんです。自分の体格に合わせて、自分の発想で、自分の音を探さなきゃいけない。
竹内/ヴァイオリンのようにこうやるとこういう音が出せるというようなメソッドが確立されていませんからね。
佐々木/トライアングルひとつとっても叩くバチが数十種類あって、みんな材質と太さが違います。奏者が曲に合わせて選ぶわけで、そこにセンスがあらわれる。自分で作ることもありますし、中には奏者が作り商品化されたバチもあるんです。
竹内/太鼓は本皮にこだわっていますよね。本皮は倍音が豊かなんです。
佐々木/でも本皮は湿度の影響を受ける。ホールに雨に濡れたお客さんが入ってくると、一気にぶぁーんという音になって…。
竹内/ゲネプロの後、雨になるとチューニングし直しです。
佐々木/太鼓の皮はオーケストラによってこだわりがあります。ウィーンフィルはヤギの皮だし、ベルリンフィルは仔牛の皮。太鼓のバチも箱の中にいっぱいあって、ぬいぐるみと同じようなモハモハ柔らかいのから固いのまで、色々な音色を出せるように取り揃えています。「あの曲」でしか使わないので眠りについているバチもあります(笑)。

曲全体の中で自分の音の意味を考える

─最後の一音で勝負という場面も多くて、緊張しそうです。
佐々木/最後にどーん!は気持ちいいですよ。打楽器は合わせるタイミングが狭いから、そこは大変ですけどね。
竹内/歴史的には、その曲のノリをずっと線的に鳴らしていたのをあえて休ませて、ポイントだけ点的に使うようになったんですね。ここぞというときに使う方が、インパクトが高くなるわけで、ロマン派以降そういう使い方が多くなっていくんです。でも、出番のところだけ考えていたのではつまらない。だから僕らはスコアを手に入れて読むんです。ピアノで音をひろってみたりね。
佐々木/そう、スコア見てこの出番のこの音は、全体の何に対しての音なんだろうと考えるんです。
竹内/特にフランスものではいろんな色彩感が求められて、いろんな打楽器が登場しますね。
佐々木/ヴェロさんが振ったコリリアーノ作曲の「クラリネット協奏曲」では、めまいするくらいいろんな打楽器が登場して、中にはヴェロさんもわからなかった楽器があったくらい(笑)。
竹内/スタッフも大変です。いろんな楽器をそろえて、足りないものは借りてこなくちゃならないから。
佐々木/『打楽器事典』という本があって世界中の打楽器が載っています。
竹内/国が変われば呼び方も変わるし、打楽器って無限にあるんですよね。
佐々木/この「楽器談義」、打楽器だけ2回も載せてもらっていいのかと思っていたけど、まぁいいか(笑)。
竹内/そう、世界中どこでも人がいるところには打楽器があるんだから(笑)。


パーカッション01
本皮が張ってある。奏者は曲に合わせさまざまなバチを試みる。
パーカッション02
連打するときはスタンドにつり下げ、両手で演奏する。
パーカッション03
トライアングルと、ずらりと並んだバチの数々。基本的に1種類2本のバチがあり、太さや材質が一目でわかるようにカラーのテープを貼って色分けしている。

たけうち まさや 仙台フィル ティンパニ首席奏者。カイロ音楽院教授を経て2002年入団。

ささき やすし 仙台フィル 打楽器奏者。1985年入団。

第323回定期演奏会(2018年11月23日,24日)プログラムより

このページのトップにもどる