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2017/10/6

パスカル・ヴェロ 特別インタビュー
第1回 旅の始まり ~フランスからの新たな風~

 2006年の常任指揮者就任以来11年にわたり、仙台フィルとともに音楽を作り上げてきたパスカル・ヴェロさん。その初の海外指揮者のポスト就任により、仙台フィルはレパートリーの幅を広げるばかりでなく、聴き手を巻き込んだパフォーマンスや海外公演にも取組み、東北の一大オーケストラとして、さらなる成長を続けてきました。そこでこのシリーズではヴェロさんや楽員へのインタビューをもとに、全4回にわたり、これまでの音楽づくりを振り返ります。

 

 

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第1回登壇の時のプログラム



――1985年以降、日本国内では東京フィルハーモニー交響楽団や新星日本交響楽団(のちに東フィルと合併)で指揮者を務めておいででした。仙台フィルへ初めて客演されたのは2000年ですが、当時どのような印象をお持ちでしたか?

 初めて仙台に来た際、都市の規模や雰囲気など、非常にリヨンと似た印象を受けました。東京のように大きすぎず、演奏会での聴衆との距離も近い。より親密に、家族のように感じられました。初めての客演ではルーセルの交響曲を演奏しました。弦楽器にとってあれほど難しい作品をうまくまとめあげることができたのは、当時コンサートマスターだった渋谷由美子さんのもと、オーケストラの素晴らしいコンビネーションと熱意があってこそです。もし客演コンサートマスターでこの作品を取り上げるとなれば、時間のない中でやることも限られているため、自分自身を苦しめることになりかねません。特に私のように海外からの指揮者であれば、なおさらです。2006年にポストを持って継続的に音楽づくりができる環境になってからは、よりじっくりとこうした作品に向き合えるようになりましたね。

 

――フランス音楽はルーセルのほか、フォーレやサン=サーンス、ラヴェルにベルリオーズなど、その後も積極的に取り上げていますね。特にロシア公演前に壮行演奏会で聴いたドビュッシー「海」の、言葉では言い尽くせない色彩感が、今でも深く印象に残っています。

img_P.VERROT_int1_02 ドビュッシーは私が持つ文化的素養の一つでもあります。ですから、私にとってドビュッシーのようなフランス音楽を取り上げることはとても自然なことでしたし、だからこそ仙台フィルと長年取り組んできました。確かにフランス音楽、ましてドビュッシーを取り上げるなんて怖い、という指揮者もいます。細部にわたる音楽づくり、ドビュッシーがスコアに書いたオーケストレーションはとても重要で、それを汲み取らなければなりませんからね。絵画や文学、建築などの他の芸術分野とも密接に関わっていますし、エリック・サティ、フローラン・シュミット、ストラヴィンスキーなど他の作曲家なくしてドビュッシーではなかったと思うのです。この時代パリはさまざまな芸術家たちが交流し、影響を与え合い、文化を作り上げていたのですから。その文化的な繋がりを意図的に系統立てて取り上げるつもりはなかったのですが、その時々でオーケストラに適した作品を取り上げるうちに、結果的にフランス音楽の系譜や音楽を取り巻く芸術を紹介することができたのは嬉しいですね。

 

 

 こうした姿勢は楽員の皆さんも身近で感じていたようです。コンサートマスターの神谷未穂さんは、ヴェロさんとのリハーサルについて「皆が同じイメージを共有することに時間をかけておいでで、文学や建築などの深い知識に裏打ちされたお話が、聞いていてとても楽しいんです」と話して下さいました。こうしてヴェロさんがフランス音楽を通じて伝えた色彩感や他の芸術へも目を向ける姿勢は、オーケストラの中で、これからも脈々と受け継がれていくのですね。

(構成:正木 裕美)

 

 

パスカル・ヴェロ 出演公演
第313回定期演奏会

 日時:2017年10月27日(金)午後7時開演・28日(土)午後3時開演
 会場:日立システムズホール仙台・コンサートホール
 指揮:パスカル・ヴェロ  クラリネット:ダビット・ヤジンスキー
  バーバー:序曲「悪口学校」作品5
  コリリアーノ:クラリネット協奏曲
  コープランド:バレエ組曲「ビリー・ザ・キッド」
  バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」よりシンフォニック・ダンス

公演情報詳細はこちら→

第317回定期演奏会
 2018年3月16日(金)午後7時開演・17日(土)午後3時開演
 会場:日立システムズホール仙台・コンサートホール
 指揮:パスカル・ヴェロ  ピアノ:横山 幸雄*
  サティ:グノシエンヌ第1番、第3番・ジムノペディ第1番、第2番*
  ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲 作品25*
  ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
  ラヴェル:ラ・ヴァルス
  ラヴェル:ボレロ

公演情報詳細はこちら→

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