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楽器談義

構成 / 西大立目 祥子

Vol.8 トランぺッターが語るトランペットInterview

森岡正典,浦田誠真

森岡 正典        浦田 誠真

種類の多彩なトランペット。曲に合わせ楽器を持ち替え、異なる音色で吹き分ける。

唇の動きと3つのバルブで自在に音を出す

─最初は音が出ないといいますね。
浦田/ブラスバンドで始めたときは全然鳴りませんでした。だから音が出せたときはうれしくて(笑)。
森岡/金管全部にいえることだけど、バズィング(*注)といって基本は唇を震わせてその動きで音階が出せるようになることなんです。ちょっと吹いてみて。
(浦田、バズィングで音階を吹く)
森岡/うまいですねえ(笑)。上手な人ほど幅広い音域が出せるんです。
浦田/唇の形を変えるというのか…例えば高い音のときは口のまわりの筋肉が固くなっていますね。
森岡/そして、トランペットにはピストンバルブが3つあって、押し方の組み合わせを変えて音階を演奏しています。もともとのナチュラルトランペットは直管でした。産業革命で技術が進んで、組み込んだバルブを操作して空気の流れを変えることで、音階を演奏できるようになったんです。
浦田/マウスピースの選択もあります。好みもあるし口の形も違うから。こだわる人は何十種類も揃えていますね。
森岡/木管の人たちが、音を求めて必死にリードを削るのと同じですかね。
浦田/買うときは楽器屋さんに頼んで10本くらい用意してもらって吹いて選ぶのですが、自分でいいと思ってもオケの人に聴いてもらうと響きが足りないと言われることもあり、なかなか難しいです。

吹きながら、頭の中は移調で大忙し

─楽譜の読み替えが必要な移調楽器なんですね。
森岡/吹奏楽でトランペットを始めた人たちは、ほとんどB♭管を吹いているんですね。吹奏楽の曲は『in B♭』と指示のあるのが多くて、B♭管でそのまま吹けるんです。でも、オーケストラの曲ではそうはいかない。
浦田/僕もブラスバンドでトランペットを始めて、そのあと京都市のジュニアオケに入団してから、楽譜を見ると『in D』とか『in F』とか書いてあって、先生に移調することを教えてもらいました。
森岡/僕は大学に入ってからすごく苦労しました。B♭管で違う調の曲をそのまま吹いたら、とんでもない音になってしまう(笑)。調によって基本になる「ド」の音が違うわけだから。何度下だ、上だと考えないといけない。
浦田/いつも頑張って、この「ド」は、どの「ド」だ?とやっているわけです。
森岡/オーケストラの奏者は、基本は移調がしやすいC管を使って調を読み替えています。移調して吹くのは、絶対音感がある人の方が大変かもしれない。
浦田/僕は絶対音感あるかな。ドはドにしか聴こえないから。
森岡/僕は相対音感、というか大体音感(笑)。

 

一口にトランペットといっても仲間はいろいろ

─楽器の種類もいくつかあるようですね。
森岡/基本はB♭管(ベーかん)とC管(ツェーかん)を使用します。そのほかに1オクターブ高いピッコロトランペット、柔らかい音色が出るコルネット、ホルンのようにロータリーバルブがついているロータリートランペット。この5つはそろえますね。
浦田/曲によって楽器を吹き分けています。
森岡/第317回定期のボレロはピッコロトランペットを使う代表的な曲。浦田君がやってくれてよかった。ピッコロトランペットを吹くと、直後は違う口になっちゃうんだよね(笑)。
浦田/確かに、トランペットに戻ると、あれ、こんなんだっけ?ととまどいますね。
森岡/やっぱりピッコロトランペットは決まった人がやるといいんです。これからは、浦田君にやってもらおう(笑)。どれを使うかは曲にもよるし、指揮者からも指示されます。古典派の曲ではロータリートランペット、ロシアものやフランスものではコルネットが使われることが多いですね。
浦田/入団してびっくりしたんですが、僕の楽器、森岡さんのとすべてメーカーが同じなんです。きっと音の好みが似ているんでしょうね。B♭管とC管は、アメリカのバックというメーカーのものを使っているんですが、暖かみがあって、でもオケにマッチして華やかに吹ける…。
森岡/すばらしい、同感です(笑)。
浦田/ロータリートランペットは、吹奏楽人口の多い日本人にとっては一番なじみが薄くて、自分が買ったのも1年ほど前。いちばんメーカーがばらつく楽器なのにこれも一緒だったのは驚きました。
森岡/もっと共通点があって2人とも寺の息子なんですよ。しかも次男。違うのは、彼はすごく真面目ってことかな(笑)。


トランペット

左から、トランペットC管、ロータリートランペット、ピッコロトランペット。ロータリートランペットにはロータリーバルブが3つついている。

アイーダトランペット

ヴェルディのオペラ「アイーダ」で使用するアイーダトランペット。

もりおか まさのり 仙台フィル首席トランペット奏者。山形大学教育学部卒業。1990年ニューヨークに留学。1982年入団。

うらた じょうしん 仙台フィルトランペット奏者。京都市立芸術大学大学院卒業。2018年5月入団。

第318回定期演奏会(2018年5月11日,12日)プログラムより

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