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楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

構成 / 西大立目 祥子

Vol.61 ソロ首席ヴィオラ 井野邉 大輔Interview

ソロ首席ヴィオラ 井野邉大輔<

ハーモニーをコントロールするヴィオラの仕事をする中で、
仙台フィルのスタンダードな音を、じっくりと創っていきたいですね。

 

 

趣味はドライブ。
東北はいい温泉が多いから、車を走らせる楽しみが膨らみそうです。

N響での22年をへて再び仙台へ

どうしてN響を辞めて仙台フィルに?って。その質問、いろんな方からいただくんですよ(笑)オケは生モノ。人が替われば音も変わる。それによってアンサンブルだって変わってきます。考えるところあって…というところでしょうか(笑)要は一人の音楽家として更なるステージを目指し成長を続けたいということですね。

仙台フィルにはご縁があって、24年前、大学生のときに1年間首席契約をして弾かせてもらっていたことがあるんです。不思議な縁ですね。

その後大学院で半年学び、N響に入団しました。仕事はものスゴいペースでした。定期演奏会が月に6日間3プログラム、年間30プログラムある。それが全部違うプログラムです。降り番はあるけど、若いうちはそんなにまわってきません。息つく暇なくこなして、少しゆとりが出てきたなと感じたのは、入って6年が過ぎた頃でした。

22年近く在籍しましたが先輩にも恵まれ、オケの基本である室内楽も、おそらくN響の全ステージ以上にやらせてもらいました。指揮者もH・シュタイン、サヴァリッシュからデュトワへの時代で、素晴らしいソリストもやってくる。フレーズの歌いまわし、耳の使い方、音色を使い分ける術(すべ)、オケの時間を尊重し自在に自分の時間をコントロールするためのソロのテクニック、テキスト(楽譜)の読み込み方・・学んだものはとても数えきれません。

忘れられない大失態もあるんですよ。英国公演でゲネプロの後・・・いや、くわしくは折りに触れお話ししましょう(笑)

仙台フィルならではの音をめざして

ヴィオラとの出会いは、高1の授業の中でのことで、とたんに、その音色、響きに惹かれました。でも大学ではヴァイオリンを専攻。一方で学校の楽器を借りてヴィオラの仕事をしていました(笑)

その後、ある音楽祭でのちに師匠となる岡田 伸夫さんの演奏に触れ、大学を移る決断をしたんです。いま自分が教える立場になってみると、ヴィオラに向く学生は分かりますね。ヴァイオリンの一番下のG線を無意識に鳴らせるとか、楽器本体の響きを聴ける子っていますから。

私自身は、音楽全体の流れを見据えながらオケのハーモニーの色を変え、テンポをコントロールし、全体のバランスをとるのがヴィオラの役割だと考えているんです。弦に限らずあらゆる音を客観的に聴けるオールマイティプレイヤーという立ち位置で、それぞれの楽器セクションとのアンサンブルの綾を創ります。ときに指揮者をも意に介さず全体のバランスをみながらリードする仕事をしなければならないでしょう。

そんな中で、仙台フィルスタンダードといえるようなサウンドを創っていきたいですね。日本のオケは全体的に、よくいえばピュアで指揮者にいわれるままに動く傾向にあります。仙台フィルならではのコアを保てるようにしたいんです。そのためには、楽譜の書かれ方を常に注意力を持って見渡し考え続けなければなりません。おそらく15年、20年と時間のかかる作業ですが、夢を追ってみたい。

そこには温かくもきびしいお客様も必要です。それがオケを育み、ひいては指揮者を育てることになるんじゃないでしょうか。

いのべだいすけ
4歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高(音楽科共学)を経て桐朋学園大学でヴァイオリンを専攻後、洗足学園大学に編入しヴィオラに転向。1991年、満場一致でNHK交響楽団に入団。首席代行奏者などを歴任後、昨年退団し、この春仙台フィルヴィオラソロ首席奏者に就任。洗足学園大学及び大学院講師。1968年生まれ。

第282回定期演奏会(2014年5月16日,17日)プログラムより

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