TOP> 楽団員インタビュー> 楽団プロフィール> 仙台フィルについて> 楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

構成 / 西大立目 祥子

Vol.56 フルート 戸田 敦Interview

団員同士のフレンドリーないい関係をベースに、自発的に音楽を創っていける大人のオーケストラにしていきたいですね。

 

趣味はオーディオ。いい装置だと、それまで聴こえていなかった音が耳に入ってくるんです。震災後、仙台に単身残留となり、お弁当を自分で作るようになりました!

ランパルの音でフルートに目覚める

フルートを始めたきっかけは、中学になって吹奏楽部に入部したことです。なぜか父が「フルートなら、買ってやろう」といってくれたんですね。今思うと、教師だった父は趣味で尺八をやっていて、フルートと尺八のアンサンブルを楽しもうとしたらしい(笑)。確かに、タテとヨコの違いはあっても音の出る仕組みは同じなんです。

コンクールに出るような学校でもなく、女子に混じってタラタラとやっていたのですが、あるとき20世紀を代表するフルート奏者ランパルのレコードを聴いて目からウロコが落ちました。いい音!フルートってこんな音が出るんだ、と驚きました。それから俄然やる気が湧いて、練習し始めたんです。といっても、まったくの自己流で一人黙々と。

高校に進んだときにちゃんと先生につくことに決めて、名古屋フィルの団員だった村田四郎先生にみていただきました。そのとき「音大志望か?」と聞かれたんですね。「できれば」といったら、「できればでいいのか?」とさらに尋ねられて、「ぜひ」と答えてしまった。突然、音楽の道が現実のものになりました(笑)。

レッスンは、音を伸ばすロングトーンとスケールだけ。好き勝手吹いてただけですから、先生にしてみれば基礎をやらせなきゃだめだ、と思ったんでしょう。3年間、練習に明け暮れ、学校はおつとめだと思ってました(笑)。東京の音大に進んでからも、アルバイトはほとんどせずにフルート漬け。そのあと、フランスに留学にしたのですが、やはり自分にとっての先生は村田先生ですね。「ダメだ、ダメだ」といわれ続けた3年がなければ、プロのオケプレーヤーにはなれなかったと思います。

聴こえていなかったまわりの音

入団してみると、仙台フィルはいい人ばかりで助けられましたね。互いを思いやるし、フレンドリーだし、そういう良さは音に出ているような気がします。

当初は自分のことで精一杯。まわりの音がまったく聴けていませんでした。余裕が出て他のパートが聴こえてくるようになったのは、4、5年経ってからでしょうか。そもそも若いときって、自分のことだけですよね(笑)。歳を重ねるにつれて、まわりの音を聴きながら少しずつ緻密なアンサンブルができるようになってきたと思います。

入団1年後に開催された第1回仙台国際音楽コンクールはかなりハードでした。課題曲は多いし初めての曲ばかり。一方で出場者の人生がかかっているのだから、ミスは許されない。でも、その頃、留学時代にお世話になった先生が来日していて「仙台フィルに入団しました」と報告したら、「国際コンクールがある街ね」といわれたんです。なるほど、そんなふうにオケの名が知られていくのなら頑張らなきゃと思いました。それと、苦しかったのは子どもが生まれてからの数年ですね。これは先輩奏者に釘を刺されていたとおり(笑)。睡眠時間は削られるし、泣けばほおっておけないし、家でゆっくり練習できず突発性難聴になったほどです。

入団当時は仙台フィルはうまいなぁと感じていましたが、だんだん欲が出てきました。自分のためにもみんなのためにも技術を磨くのはもちろんですが、オケ全体の中での主役、脇役を考えながら立体的な音楽が創れたらいいと思います。そして、指示を待つのではなく、自分たちはこうやりたいという自発性のある大人のオケにしていきたいですね。

とだ あつし
武蔵野音楽大学を卒業後、パリ・エコール・ノルマル音楽院に3年間留学。マリア・カナルス国際コンクールをはじめ国内外のコンクールで入賞。2000年に仙台フィル入団。1969年、愛知県春日井市生まれ。射手座、B型。

第277回定期演奏会(2013年10月18日,19日)プログラムより

このページのトップにもどる