TOP> 楽団員インタビュー> 楽団プロフィール> 仙台フィルについて> 楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

構成 / 西大立目 祥子

Vol.53 チェロ 高橋 咲子Interview

音楽を通して、お客さまと親密なやりとりがしたい。
弾くよろこびを感じながら、じわっと粘り強く活動していきたいと思います。

 

加藤健一さんのお芝居の大ファンで、年に一度は、東京まで出かけて楽しんでいます。
小劇場が大好きです。

“振動”で、チェロの音に夢中に

両親ともクリスチャンで、足踏みオルガンを弾く母の背中に背負われ、賛美歌を子守歌代わりに聴いて育ちました。小さい頃から、家や教会などで賛美歌を歌うことがあると、いつも4声でハモるのを聴いていたんです。子ども心にメロディ以外の声部を歌える人が、すごく大人っぽく見えて憧れていました。そのせいか、まだ楽譜は読めないうちから、耳から入る響きで声部の音のイメージが持て、ソルフェージュは苦手だったのに4声の聴音だけは得意だったんですよ。

小学生のときヴァイオリンを習った時期もあったんですが、挫折。チェロとの出会いは中1のときで、兄が買ってきたバッハの無伴奏チェロ組曲のレコードを聴き、その音に強く胸を打たれました。もうスピーカーにへばりついて本当にたくさん聴きました。体に感じる振動がとても心地よかった(笑)。私はどうも身体的な感覚が、大事みたいですね。中学時代は卓球少女だったんですが、ラケットの真ん中に玉が当たると、コン!、といい音がして腕に響きが返ってきて、ラリーが続くのが大好きでした。

8分の7サイズのチェロを買ってもらって習い始め、部活をやりながら高校まで続け、高2からはときどき東京の先生のもとにかよって首都圏の音大に進学しました。

でも、気が小さいうえに極端な引っ込み思案。東京暮らしにビビってましたね。しんどさを感じながら過ごした音大の4年間は驚くことの連続でした。まず、まわりの人たちが使っている楽器の値段が私の10倍くらいするのにびっくり。オケで弾くのも室内楽をやるのも初めて。ほんとに私って何も知らないんだなぁ、と思うことばかりでした。

病気を克服して感じる、弾くよろこび

卒業後は、東京でフリーで仕事をしていました。でも、フリーを続けるうちに、自分の理想とのギャップが大きくなって、オケで弾きたいという思いが強まり仙台フィルのオーディションを受けることにしたんです。ただ、小さい頃から内気で団体行動も人混みも苦手な私にとっては、オケもかなりの人混みなので(笑)…。でも、オケで弾けないチェリストなんてありえない。音楽家として表現する以上、そこは何としても克服しないといけない、と決心しました。

仙台に帰ってきて精神的にとても安定しました。やっぱりこの街は気持ちがいいのだと改めて実感したんです。空気がよくて緑もあって…。でも入団3年目に乳がんが見つかり、右の乳房と筋肉を切除する手術を受けることになりました。33歳でした。ほぼ1年活動を休みリハビリを続けましたが、3、4年は腕が腫れたり痛んだり本当に苦しい毎日でした。その後は、再発もなく、いまは心から弾けるしあわせを感じています。

入団20年を過ぎて、今は定期的に室内楽の活動をするようになり、一つの空間の中でお客さまに音楽を届け親密なやりとりをしたい、と感じるようになりました。日常を離れた異空間に誘いたいんです…うーん、これは欲望(?)ですね(笑)。私は芝居が好きで小劇場の芝居に親しんできたのですが、すみずみまでエンターティメントを感じさせるパフォーマンスにいつも感動します。音楽も同じだと思うんです。信頼のおける仲間と緻密なアンサンブルを創り上げ、音でエンターティメントを届けたいです。そして、そこで得たことを、オケの音作りに還元できればいいなあ、と思っています。

たかはし さきこ
洗足学園音楽大学卒業。東京での8年に及ぶフリー活動を経て、1990年に仙台フィル入団。仙台市生まれ。魚座、AB型。

第274回定期演奏会(2013年5月17日,18日)プログラムより

このページのトップにもどる