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楽団員インタビュー~ハーモニーな楽屋~

構成 / 西大立目 祥子

Vol.29 チェロ:田澤 緑Interview

画像-チェロ:田澤 緑

ゆったりと自分自身が楽しみながら、
きれいな音で心地よく弾く─。
これがヨーロッパで学んだ、いちばん大きなことですね。

10歳でチェロを始め、17歳でヨーロッパに留学。
学び、暮らして体にしみ込んだヨーロッパの音楽を、いまは若い人に伝えたい。

おいしいものをつくり、みんなで食べるのが一番の幸せ(笑)。
ピザも生パスタもつくりますよ。

ただチェロを弾いていれば幸せだった10代のころ

10歳のころ、住んでいたまちの市民オーケストラの演奏会に行ったんです。「ああ、あの中で私も弾いてみたい」。ステージの上で輝いているオーケストラを見て、そう思いました。それからは習っていたピアノをやめ、チェロまっしぐら。青木十良先生に手ほどきを受け、朝から晩までチェロ漬けの毎日でした。とにかく弾くのがうれしかったんですね。

普通高校に入学しましたが、先生の勧めもあり、半年でやめて17歳でフランスに留学しました。講習を受けご縁のできたR.フラショー先生のご自宅に下宿させてもらって、最初はバーゼル音楽院に通ったんです。さらにヴェルサイユ音楽院でも学び、18歳のときウィーン国立音楽大学に入ってA.ナヴァラ先生につきました。演奏家国家資格というのを取って卒業したのは24歳のとき。それまで一度も日本に帰らなかったんですよ。

最初は言葉もできず、学生仲間にも溶け込めなかったけれど、まわりの方々の助けと、この楽天的な性格で乗り越えてきました。ご飯もお醤油も手に入りましたしね(笑)。壁にぶつかっても、チェロをやめようと思ったことはなかったです。だって、ほかにやれることないし(笑)。

それから、40歳で息子を連れ帰国するまでは、ずっとヨーロッパで、ほとんどフリーで活動を続けました。

きれいな音で弾くことを、若い人たちに伝える

仙台フィルを勧めてくれたのは、友人のヴァイオリニストでした。ソリストとして共演して、いいオーケストラだと感じたようです。きてみたら仙台は住みやすそうで、早速オーディションを受けたんです。

最初はちょっととまどいもありました。これだけ大きな編成のオーケストラでの仕事の経験はあまりなかったし、次から次へと新しい曲や難しい曲がやってくる。ヨーロッパでのオケの仕事はもっとゆったりペースなんですよ。でも、団員仲間にもずいぶん助けてもらい、いまはだいぶ慣れて本当に楽しくやっています。ヨーロッパ公演のときは、故郷に帰ったような誇らしい気持ちでした。

ヴェロさんがいらして、よくなりましたね。リハーサルに入ると、たった一日でつややかなフランスの音になるんです。不思議ですねえ、指揮者って。みんなの音の出し方が変わるんですから。私はとっても弾きやすいです。オケは、まさに指揮者の鳴らす楽器なんですね。団員はみんな勉強家だし、経験を積んでいって仙台フィルは、これからますます良くなっていくと思いますよ。

私自身は、これまで学んだことを大切にしながらオケの中で調和し楽しんで弾くこと、そしてこの経験を若い人に伝えること、この2つを柱にやっていきたいですね。若い子には「きれいな音で楽しんで弾きましょう」とよく話すんです。だって「音楽」なんですから。

たざわ みどり
10歳からチェロを始め、17歳でヨーロッパに留学。ウィーン国立大学を卒業後、ウィーン、北ドイツ、イタリアなどで演奏活動を続けてきた。1998年に帰国し、同年2月に仙台フィルに入団。1957年神奈川県藤沢市生まれ。

第247回定期演奏会(2010年5月14日15日)プログラムより

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